コラボ勉強会2009-03-28レポート

「勉強会は、ブログで報告するまでです。」を合い言葉に、3月末に浅草で行われた勉強会のレポートです。
私は、このブログでおさそいをかけたときは「通貨と地域と絆の勉強会」と題しましたが、参加者の方々、それぞれのテーマを抱いて、勉強会に参加されたようで、とてもユニークで楽しい勉強会となりました。懇親会ではホッピー、初めて飲みました。通な飲み方も教えてもらって、満足。さっそく床屋さんで、飲み方、自慢してきました。
勉強会はお昼過ぎ、ももちさんの基調講演から独特な雰囲気ではじまりました。タイトルは、「キアスムと贈与」。とても印象に残ったのは、後半に参加者全員に配られた短冊。この短冊の表と裏にある言葉を書き込みました。「ある言葉」は、実際にその場の流れの中にいないと良さが感じられませんし、講演で実演する良さも大事にしたいので、ここで詳細は書かないでおきます。二つの言葉を書き込んだあと、この短冊で両端をつなげて円環を作りました。ただの円環では短冊の表と裏は永遠に交わらないが、いちどひねってメビウスの輪っかにすると、短冊の片面をずっとたどると、裏面もたどれて、表と裏に書き込んだ二つの言葉はつながる。円環を閉じたコミュニティとすると、ひねることで外との接点ができる。今回のコラボ勉強会のように、それぞれのコミュニティの円環を一度切って他のコミュニティと広くて薄い紐帯を結ぶことで、絆を失ってスケールフリーな、べき乗則な状態になってしまった個々に再び絆をとりもどすことになるだろう。
とても納得できた講演で、前半の三つの円環からできるボロメオの結び目フレームワークとした普遍経済の考え方は、前回のブログ、0.5の深呼吸を私の4つのフェーズに取り込もうと思う進化につながりました。以前、4つという数字は偶数で周期的だと日記しましたが、1周では元に戻らなく2周すると元に戻る、ようなスピンがあるといいのかもしれません。時間を作る粒子が2周すると元に戻るスピンをもっているとか、「ペンローズのねじれた四次元」からヒントを得たんですけどね。
つづいて、べき乗則コミュニティの代表、ひできさんの発表。これから起こるであろう、人口の問題点をシミュレート。この後に、私たち、さかまたさんを中心とするプロジェクトの進捗発表でした。そして私たちのあとに、300万円のベーシックインカムはいかにして配分できるかという課題に対して、とても興味ある問題点を導きだした発表がありました。ひできさんの発表とこの発表は、これからやってくる人口減少という問題点と今起きている不均衡な配分の問題点を、オリジナリティある分析で明らかにしてくれました。これって、事前打ち合わせしていたんでしょうか。コラボ的な発表で、勉強会のとてもいい骨格を作り上げていたと思います。
そして、最後は、盛岡じゃじゃ麺。あー、食べたくなりました。最後は麺でしめた大成功の勉強会となりました。

私たちのプロジェクトの進捗報告は、さかまたさんと私の二人が前に出て発表しました。今回の発表では、統一感とチーム感を大事にするように決めていました。私が用意していた2枚のスライドも、さかまたさんが同じプロジェクトの帯をつけくれてバッチリ決まっていました。
発表内容は、さかまたさんが、前回の勉強会のおさらい、新しい仲間の紹介、そして、新しい仲間が加わった事で仕様やデザインがより具体的になったことを、画面サンプルを交えて報告しました。前半のおさらい部分は、私の言いたい事もすべて入っていて、横で待機していた私はうんうんと聞き入ってました。画面サンプル部分の紹介も、日頃のSkypeミーティングの成果もあって、私がまだ実装にたどり着けていないところや実装のポイントなど、技術的なニュアンスも、私の感覚とまったく同じで、フォローがまったくいらない完璧な報告でした。
最後の方に挟んだ私の2枚のスライドで、私がバトンタッチを受け取り、これまでの歩みと技術的興味の対象を紹介しました。プロジェクトの歩みの方は、例によって4つのフェーズで順調に繰り返し(ソフトプロジェクトっぽくいうと'イテレート')していることを、フェーズ毎に色分けしたトピックで示しました。

ちょいネタですが、このスライド、時間軸の色分けはPSPの月別の背景色になっています。最近の私のマイブーム、「色」なんです。
もう一枚のスライドは、技術的興味の対象。

多実装と掲げたのは、インターフェースは同じだけど、中身の実装は複数のパターンがあってもいいというメッセージを込めたものです。今回のプロジェクト、サーバ側は、現時点では、クラウドGoogle App Engineを、実装言語はPythonで、と進めています。しかし、日本ではPythonになじみが少なく、仲間集めの障壁になっているような感じがしています。多実装、マルチレイヤーというメッセージで、いろんな得意分野の人へアピールができたらいいなと思っています。
このスライドにある吹き出しのテーマは、テーマさえもいろいろなものがあっていいと考えたものです。特に、通貨というテーマは、様々なテーマと結びつく事ができます。プロジェクトは、いろいろなテーマとのつながりも大事にし、さまざまなツールや技術レイヤーを駆使して、それらのテーマを応援することを目指しています。
あれ、一瞬、なんか目的が変わったように見えましたが、いえいえ、この適用範囲(スコープ)の広さは、さかまたさんが最初から狙っていたものなんです。

私の2枚の次は最後のスライドで、さかまたさんのまとめに戻りました。このまとめでは、事前の確認のときに、私は、メンバー募集にならんで、コラボプロジェクト募集を追加することを提案していました。提案するに至った経緯は、数週間前に、趣味仲間のおじいちゃんから、そばうち、を教えてもらったことにはじまります。
おじいちゃんは、70歳を過ぎてなおいろんなことにチャレンジするスーパーおじいちゃんです。私はとても尊敬しています。そばうちは退職後に独学で習得したそうです。それに加えて道具類もすべて自分で作っていて、教えてもらった手順もすごく論理的で、最後はちゃんとおいしいそばになりました。
そばうちは、大きく二つの工程に分けられます。そば粉に水を加えてひとつのかたまりにする〜ねり〜と、それをめん棒で広げる〜のし〜です。私は、めん棒一本でかたまりを正方形にする〜角だし〜という技に驚いたのですが、それ以上にもっとドラマを感じたのは、ねりの工程でした。
そば粉を大きくて頑丈な器に広げ、必要な量の7、8割の水をどばっと加え、すばやく水を粉全体に行き渡るようにかき混ぜます。すぐに、だんご状態にするのではなく、水分を多く吸ったかたまりに水分のない粉をぶつけて、力を加えないでもみながら全体が湿った状態をつくります。すると、少しずつ小さなかたまりがたくさんできてきます。ある程度かたまりができてくると、全体を軽く手でなぞって、かたまりの部分とまだかたまっていない粉の部分とに分けます。粉が多い方に、残りの水を加えてまぜて、全体を同じくらいの粒度のかたまりの集団に仕上げていきます。そこから、徐々に力を加えていって、その粒度を徐々に大きくしていきます。この工程、まとめるという意識をしないでも、徐々に同じ粒度のかたまりが集まって、最後は一気に一つのかたまりになったのがとても不思議で面白かったです。
話しはもどって、この経験が、あのコラボプロジェクト募集のきっかけになったのです。大きなムーブメントを起こすにはやり方があるはずだ。一つの種が大きくなることもあるだろうが、たくさんの種を同じ様に育てることがコツなんだ。そう思ったのです。
さらに話しはもどって、広くて薄い紐帯、同じ粒度のかたまりをつなげていくとできあがるのは大きなかたまり、意識をしないでも、ぶつかりあったり、巻き込まれたりで、ひとつの大きな絆を築く日がやってくるんではないかなと思いました。

他にもいろいろ思うことや進化を経験できました。感じたのは、今私の身の回りで起きていることが、いろいろな形で勉強会のなかで結実するという現象です。驚くほど不思議な現象で、私はだれかに誘導されているのではと錯覚してしまいそうなくらいです。多分、その誘導は間違った方向というのではなく、必然というか、全体がそう感じ、思ってきているからなのかなと思ったりもしています。

最後に、今回このブログ経由での参加はなかったようですが、みなさん、広くて薄い紐帯を結びませんか。こんな面白いプロジェクト考えてんだ、っていうお話を是非聞かせてください。