エンデの遺言

14年前('94)のエンデの遺言で現代の「お金」を根源から問い直したのをはじめに、私たちは「お金」に関する新しい取り組みを知ることができるようになったと思います。
エンデの遺言NHKでドキュメンタリー映像となって1999年に放送されています。私はこの放送をタイムリーに見ていなかったので、NHKアーカイブセンターに足を運ぶなどして探していました。結局、NHKアーカイブサイトでも映像を入手できなかったのですが、とあるブログサイトで、動画共有サイトへのリンクを見つけたので紹介しておきます。

http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=566211

この番組、再放送されれば、再び反響があると思うのですが、どうなんでしょうか。友達に見てもらったところ、利子に対する考え方や減価する貨幣に驚いていました。私も目からうろこで、この考え方を得てからは、今問題になっている年金問題財政問題を新しい視点で見ることができるようになりました。
このエンデの遺言をうまく説明できないで、新しい通貨の話を人に話すと、かならず持ち出されるのが、あの詐欺事件に発展した、円天。今の人の心には、マイナスイメージが先行して、今のタイミングでは、「お金」のもつイメージを変えることができないんじゃないかと不安です。
しかもデフレでお金の価値が高まって、拝金主義が横行している世の中ですから。だから、詐欺も多い。これは、間違った経済感覚が原因で詐欺にだまされる人が多いからだと思います。もちろん、だまされる側だけに責任があるわけではなく、だます側が悪く、経済不安や治安問題が根本的に原因になっているのだろうと思ってはいます。
でも、最近、お金に関する本が多くなってきて、お金、そのもののことを考える機会も多くなっているのは良いことですね。

新通貨を望む声は、アルビン・トフラー「富の未来」(講談社)でも最後の方で聞くことができます。この本でトフラーは、現在の通貨に換算されていない経済活動、生産消費に着目しています。実は通貨で換算できている金銭経済よりも、生産消費の方が大きいのではないか。そして、この生産消費の生産性を向上させるために、ネットを利用した「準通貨」の登場を期待しています。

通貨を創造して世界を把握しようと野望をもつ企業もいます。グーグルです。これまた、NHKの番組ですが、
NHKスペシャル“グーグル革命”の衝撃」で、グーグル社員が野望を書き込んだホワイトボードの中心にあったのが、グーグル通貨でした。
Google Checkout というサービスもあるそうですが、現時点ではPayPalに負けているそうで、この後の展開が注目されそうです。私が予言するに、企業利益を優先とした閉じた通貨では、かならず失敗するということです。だから、ベンチャーが育たないIT荒廃の日本でも、この通貨に関しては、今後の草の根的な取り組みが実を実らせることもあると信じています。

そんな日本での取り組みを紹介したのが、佐々木俊尚「ネット未来地図」(文春新書)の論点18の章。投げ銭アフィリエイトの今後について言及されています。
新しい通貨の試みは、まずは、デジタルコンテンツの流通で多くの実績を積むべきと、私は考えます。地域通貨のような物理的に近接した地域内ではなく、グローバルに、しかも匿名性を持たせて、急速な普及をまずは狙うのがいいと思います。この普及段階ではお金に関する価値観を変え、多くの失敗を経験し、次へつなげるための下地を作るのです。

こんな感じで、最近、あちらこちらで新通貨を望む雰囲気を感じます。この感覚が本物なのか、今後も自分で自ら確認していきたいと思います。

追記:はてなキーワードに「エンデの遺言」をエントリーしてみました。再編集は、キーワードリンクが追加されるかのチェックです。